引用:公式サイト https://bd-dvd.sonypictures.jp/padman/
この【パッドマン 5億人の女性を救った男】という映画は生理用品をテーマにしたインド映画で前から少し気になっていた作品でした。
観た人の感想でも評価が高かったので私も観てみました。
- ネタバレあります。
個人的な評価です。
- 制作:2018年
- 公開:2018年(日本)
- 時間:137分
- 監督:R・バルキ
- 制作国:インド
- ジャンル:ドラマ・コメディ
インドの村で新婚生活を送る夫のラクシュミは、ある日妻のガヤトリが生理期間に不衛生な布を使用していることに気づき、妻の為に安い材料で清潔なナプキンを作ろうと行動に移します。
そのラクシュミの行動は周りからはなかなか理解されず、とうとう村を離れる事態に…。
それでも諦めずに奮闘してようやく安く作れるナプキン製造機を完成させます。
その後1人の女性との出会いによってラクシュミの運命が大きく変わっていきます。
観終わった感想は想像以上にとてもいい映画で感動しました。
映画の前半はこの主人公である夫のラクシュミが、妻が毎月の生理に不衛生な布を使っているのを知って、妻の為になんとか安い材料で清潔なナプキンを作ろうと考えていろいろと行動するところから始まります。
とても妻思いの優しい男性でもあります。
そのなかでラクシュミの行動は、妻や家族や村の人達など周りに責められたリ変な目で見られてしまい、村から出ていくことになってしまいます。
それでもどんな状況になっても決してナプキン作りを諦めず孤軍奮闘して、いろんなことを犠牲にしながらも前に突き進んでいく姿は純粋に凄いと思いました。
あれだけ家族になじられたり周りから偏見の目で見られたら、よっぽど強い気持ちや信念がない限り普通だったらとっくに諦めてしまいます。
唯一2人の男兄弟が味方だったけれど、それだけ特に男性が触れてはいけない問題なのを物語っている気がしました。
なかなか出来ることではなくて凄いパワーというか愛する妻の為に…という想いが根底にあるからこそ諦めずに行動に移せるのだと思いました。
ラクシュミがとにかく諦めない姿が、スラムダンクという漫画の「諦めたらそこで試合終了ですよ。」の有名なセリフと通ずるところがありました。
この主人公は諦めなかったから、その後にインド最大の発明の投資コンペで大統領賞をとったり、アメリカの国連に招かれたり、インド政府から褒章パドマシュリを授与されたりと、最終的に大きな成果を成し遂げることが出来たんだと思います。
それもラクシュミは決して賞をとったり有名になるのが目的ではなくて、それによって自分が作ったナプキンが今まで使いたくても使えなかった女性に広まることに喜びを感じているのが伝わりました。
何か私達の生活にも通ずる気がして「諦めなければいつか努力は報われるんだ…」というのを体現しているようにも感じました。
それと投資コンペで賞をとって、ラクシュミがやってきたことが初めて周りに認められた時に特許の話が出たけれど、 ラクシュミは特許に反対で「多くの女性の役に立ちたい」と一貫して筋が通っていました。
もしこのナプキン製造機がお金儲けが目的だったら迷わず特許を取ることを選ぶ気がするけれどお金儲けではないからこそ、その後の国連の招待や名誉ある賞に繋がったのだと思います。
それと生理やナプキンの話は日本でも大っぴらにする話ではないけれど、インドは日本の比ではなくそれ以上で、とても穢らわしいものとして扱われています。
そして期間中の5日間は家の外で夫と離れて過ごさなければいけなかったり、夫と触れてはいけなかったりとかなり厳しくて、ここまで違うんだ…と正直驚きました。
生まれ育った国や地域によって、宗教や昔ながらの風習があることは理解出来るけれど想像以上で…。
ラクシュミは妻の為に安く出来る材料で清潔で安心して使えるナプキンを作ってあげたいだけなのに、最初に女性のデリケートなことに関することを男性が扱うこと自体にかなり高い壁があります。
さらにやることなすこと誤解が誤解を招いてしまって、映画の前半はラクシュミがだんだん苦しい立場に追いやられて見ていて心苦しくなりました。
ここまでなかなか理解されないものなのかと…。
やはりその辺りは日本人の私にはわからない部分もあると感じました。
でも映画の後半はラクシュミの持っている技術を生かして、ナプキンの製造機作りにひたすら奮闘して没頭していきます。
そしてその完成したナプキン製造機で作ったナプキンを初めて使ってくれたパリーという1人の女性との出会いによって、どんどん物事がいい方向に進んでいきます。
だんだん農村の多くの女性に理解し始めていくのはみていて気持ちが良かったです。
やはり女性のデリケートな問題には同じ女性の協力がかなり必要で、この女性がいなければどんなにいい製品を作ってもいざ広めようというところで、また高い壁が立ちはだかっていたのかもしれません。
住んでいる地域や育った環境で違ってくるのは当然なんだけど、どうしても妻のガヤトリとパリーは対照的に見えてしまいました。
そして国連に招かれた時のラクシュミの演説で、通訳を通さずにユーモアを交えながら自分の言葉で話す姿は、ナプキンにかける熱い想いが伝わってきて感動するとても素晴らしい演説でした。
ただ最後に村に戻って村人から盛大な歓迎を受けるけれど、ラクシュミのやることにあれだけ耳を貸さず理解しようともしないで、酷い言葉を浴びせて村から追い出しておいて、名誉ある賞をとったら手のひらを返したように態度が変わるのはちょっと腑に落ちませんでした。
途中でラクシュミに妻のガヤトリではなくて、一緒にナプキンを多くの女性に広めてくれたパリーを選んでほしい気持ちになりました。
だけどやはり妻の元に帰るのがラクシュミなのかもしれません…。
この映画の話は実話を元にしているとのことで最初は妻の為にと始めたことが、最終的にはインド人女性の生理期間を快適に変えることになり、そのナプキンを作る機械を広めることで女性の仕事も作り、このアルナーチャラム・ムルガナンダムさんという1人の男性が成し遂げたことはとても素晴らしいことだと思いました。
この映画は生理用品がテーマであるけれど、もう一つ【諦めないこと】もテーマだと思いました。
その諦めないことも自分の為ではなく愛する妻の為に…というのが素晴らしいです。
この【パッドマン 5億人の女性を救った男】を観た後は、ちょっと自分も頑張ろうと思える元気をもらえる映画です。